私のバイト事情 その1
特に書きたいことも無いので俺のバイト歴について紐解いてみたいと思う。
俺は今、中高生の学習教材を扱っている小さな出版社でバイトをしている。
出版社と言っても大それた印刷機なんかがある訳じゃなく、
どこの学校にもあるような普通のコピー機で印刷したものを
会員の学生に送る、つまりは出版社と言うより通信教育の会社だ。
そこでコピーを取りまくったり、問題をワードで打ったり、それこそ
そこら辺の小学生でも出来そうな仕事ばかりやらされている。
バイト先が学校の帰りに無かったら、とっくに辞めていたかもしれない。
このバイトを始めたのは確か去年の10月頃。
学校の掲示板に貼ってあったのを見つけ、時給と学校の帰り道という事と
PCの打ち込み作業という点で選んだ。
俺はその頃バイトを探していて、掲示板でその貼り紙をみたその日にすぐに電話をした記憶がある。
というのも、その時俺がバイトをやっていなかったのは自分の意思ではなくて、なんとしても早く収入源が欲しかったからである。
その前にまず俺の初めてのバイトに話を移す。
俺が初めてバイトを経験したのは、まだ上京し大学に入学してから間もない一昨年の5月だった。
大学生活にも何とか慣れ、そろそろバイトでも始めるかな・・・と思って、バイト情報誌を買った。
偶然にも学校の近くに福岡では有名なラーメン屋が最近オープンしたらしく、オープニングスタッフとしてバイトを募集していた。
当時なぜか接客業が無性にやりたかった俺は、地方では破格とも言える時給950円に驚嘆しながらも初めてのバイトをこのラーメン屋に決めた。
バイト情報誌に書いてある店の番号をメモに控え、これまた情報誌に載っていたバイトに応募する時の電話のかけ方を頭の中で何回も繰り返しながら、緊張で震える手で公衆電話の受話器を取った。
プルルルル・・・ガチャッ
電話口の男「はい、ラーメン店○○事務所です。」
俺「あ・・・あのっ・・アルバイト情報誌を見て電話させていただいたオゾンと言います・・・。ア、アルバイト募集の広告を見てお電話させていただいたんですけれども・・・担当者の方はいらっしゃいますか?」
電話口の男「はい、少々お待ち下さい。」
なんとか頭の中で繰り返したマニュアル通り言えた。
その後アルバイト募集の担当者の人と面接の日程を話し合い、数日後に浜松町にある事務所に行くことになった。
面接の前には2chでアルバイト板を覗き、面接の話し方なんかを学ぼうとしたが、これまで何度も面接で落とされたと言う書き込みをたくさん見て逆に不安になった。
面接日当日、俺は面接の時間より1時間ほど早めに浜松町に行き、ネットで調べた事務所を探した。
しかし、探せど探せどなかなか目的のビルが見つからない・・・
まだ1時間も時間はある・・・
しかし内心かなり焦っている・・・
30分後にようやく目的のビルが見つかり、15分前になってビルの中に入った。
事務所のあるビルは予想とは違い、小さなアパートの様な感じで、1フロアにいくつもの部屋があった。
事務所も特に看板などは無く、「本当にここか?」と思わせられた。
少し強気にインターホンを鳴らし、面接に来た旨を伝えると事務所内の小さなブースに通された。
数分後に少し体格の良い30代後半ぐらいのおじさんが出てきて、面接が始まった。
面接の質問は
「どうしてこの店を選んだのか?」
「協調性はあるほうか?」
「肉体労働は大丈夫か?」
「週にどれくらい働けるのか?」
など事前に予想していたものばかりで、俺は頭の中にインプットした答えをそのまま吐き出すだけで良かった。
予想外に和やかな雰囲気で15分程度で面接は終わり、結果は後日伝えると言われた。
数日後俺は確信を持って、面接合格の電話を受け取り、まずは研修を受けることになった。