佐々岡、古田の引退

10月に入って急に肌寒くなり、先週からなんとなく体の調子が悪かったのですが、週末の3日連続の飲み会と、日曜日の体育祭の応援とで完全に風邪をひいてしまいました。
体調はそれほど悪くは無いので学校に来て研究はしていますが、集中できないし、なんとなく機嫌も悪いです。

今日は授業日程調整の関係で大学自体は休みだったのですが、最近研究が滞りだしているので昼から研究室に来ています。

最近研究ではデータ取りばっかりやっているのですが、シミュレーション時間が余りに長いので、ニコニコで佐々岡と古田の引退試合を見ながら結果が出るのを待っていました。

毎年この時期はプロ野球選手の引退が話題になりますが、今年は本当に日本球界の功労者2人が揃って選手を辞める事になってしまいました。

僕にとって佐々岡はまさに「本格派右腕」の代名詞たる存在でした。
恵まれた体格に、直球、カーブのコンビネーションで、力だけでなく投球術も駆使したピッチングスタイルは、僕にピッチャーの理想像を植えつけました。
その整ったピッチングスタイルで、毎年台所事情の苦しい広島において先発・中継ぎ・抑え全てをこなし、100勝100セーブを挙げた事は本当に凄いと思います。

僕は最近野球チーム、野球選手を見る時、プレイスタイルや能力ではなく、選手個々の性格、またそれら個々の選手が集まって出来たチームの雰囲気を見るのが好きになりました。
ソフトバンク王貞治監督という素晴らしい人物の下で、小久保、松中、川崎など選手としての能力だけでなく、人間的にも素晴らしい選手が多く存在するチームになりました。
しかし、チーム古来からの伝統として素晴らしい人間性を育てる雰囲気があるチームは広島カープ以外には無いのではないかと思います。

広島カープは近年成績は悪いものの、地元の大勢のファンから愛され続ける理由はやはり選手一人一人に対する愛着から来るものではないでしょうか。
去年の黒田のFA残留に象徴されるように、広島カープには本当にチームが好きで、なんとしてでもこのチーム、このメンバーで優勝を成し遂げたいと思う選手が大勢居ます。
佐々岡ももちろんこの1人で、18年間カープ一筋、広島カープの優勝の為だけに尽力し、新井が「仏様のような人」と語る様に、とても温厚で周りから愛される選手でした。
市民球場での最終登板では真っ向勝負を挑み、ホームランを放った横浜の村田が涙を流したのを見て、他球団の選手からも慕われた選手だったんだなぁと感じました。

一方で古田もまた、自球団の選手だけでなく、他球団の選手、またファンから尊敬され、愛される存在でした。
近年では球界再編騒動での選手会会長としての印象が強く、選手としてだけでなく球界組織を代表する顔にもなってしました。

しかし、僕自身は2004年のストライキから始まり、近鉄消滅阻止、2リーグ制存続を訴えた一連の騒動での古田の対応には賛同しかねる部分も多く、選手会長としての古田の印象よりも、捕手古田としての印象の方が良いイメージとして残っています。

城島という素晴らしいキャッチャーを輩出したソフトバンクのファンでありながら、今でも「キャッチャーといえば古田」という印象が強いのは、やはりピッチングにおける配球の大切さそしてそれを考える過程の面白さを古田を見て学んだからだと思います。

古田の神宮での最終戦、最終打席では広島ブラウン監督の粋な計らいにより、マウンドには佐々岡が上がりました。
結果は内野ゴロという平凡な結果でしたが、今シーズン僕が最も印象に残ったシーンでした。

毎年ごたごたの耐えなかったプロ野球のオフシーズンが今年は静かになりそうなのは、古田の尽力によるものかもしれません。
しかし、巨人戦の視聴率が年々低下し、放映時間が大幅に削減される今のプロ野球にはまだまだ課題も多そうです。
そんなプロ野球界を再び盛り上げる為に、またこの2人には球界に戻ってきてもらう時が来る事になるでしょう。
今度は専任のコーチまたは監督として球界に戻ってくるまでゆっくりと休んでください。
本当に長い現役生活お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。