学食のレジのおばちゃんが辞めた
このエントリを見ていて、前からブログに書きたいなぁと思っていたことを思い出しました。
僕の大学には学食が2つしかなくて、ほぼ毎日の様に一方の食堂に通っているんです。朝飯は全然食べないし、昼も夜も土曜日でもその学食で食べるから、僕の年間の食事の3分の2はその学食で行われるといっても過言ではないほどそこにはお世話になっているんですけど、昼に行っても夜に行ってもずーっと同じおばちゃんがレジに居るんです。
数年前までは、料理を作る係りと、レジ係を時間ごとに交代していた気がするんですけど、いつの頃からかずっとそのおばちゃんがレジを打つ係りに定着していました。
しかもそのレジに居る時間が半端じゃない。
僕が行く時は大抵そのおばちゃんがレジを打っていたから、開店時の11時頃から夜の8時位まではずっとレジの前に立っていたんじゃないかと思います。
まぁ、バイトとかパートとかだとそれぐらいは意外と当たり前なのかもしれないけど、何時間も立ちっ放しで、淡々と値段を打ってお釣りを渡すだけの仕事をこなすおばちゃんの姿をみて、なんだか「すごいなー」と感心することもありました。
しかし、1ヶ月ほど前から、そのレジのおばちゃんが他の店員にレジ打ちを教えている姿をよく目にするようになりました。
その様子を僕は「あー、もしかして辞めるのかな」等と考えながら見ていました。
そのレジのおばちゃんは上のエントリにある様に凄いスピードでレジ打ちをこなす能力があった訳でも無かったのですが、単純に毎日顔を合わせていただけに「辞めちゃったら少し寂しいなぁ」という気持ちはありました。ただ、それ以外は特に自分の生活に影響があるものだとは少しも思いませんでした。
しかし、実際にそのレジのおばちゃんが辞めると、僕が考えもしなかった小さな支障が起きはじめました。
おばちゃんが居なくなった直後は、新しいレジ打ちの人もおばちゃんと殆ど変わらないスピードでレジ打ちをこなしていたので、いたって何の変化も無かったのですが、数日経つと徐々に変化に気づき始めました。
まず最初に気がついたのはお茶。
その食堂はボタンを押してコップにお茶を注ぐという、どこにでもある給茶機があるのですが、おばちゃんが辞めてからお茶の濃さにばらつきが出るようになりました。
ばらつきといっても、酷い時には殆どお湯で、薄く緑色になっているからボタンを押し間違えたのでは無いという事がかろうじてわかる程度の時もありました。
次に変わったのが箸でした。
その食堂には、洗って再利用するプラスチックの箸と、割り箸の両方が置いてあり、僕は持ちやすさからいつもプラスチックの箸を利用していたのですが、プラスチックの箸だけが全く無いという事が頻繁に起こるようになりました。
そして、つい先日もこんな事がありました。
僕が研究室の仲間達といつもの様に閉店ギリギリで食堂に駆け込み、いつもの様にレジに並んでいると、僕の前の人でどうやらトラブルが発生した様で、レジの人が何度やってもお釣りが出ないという事態になっていました。
レジの人が何度やってもお釣りが出ないので、さすがにおかしいぞと気づき、その原因がレシートのペーパー切れであるというのに気づくのに数分を要し、それからペーパーを換えようとするも、換え方が分からず、他の店員を呼び、その店員もペーパーの換え方があまり分かっていないようで、試行錯誤の末10分後にようやく復旧。
閉店間際で駆け込み客が多く、レジはその1つしか開いて無かったので、復旧した頃にはレジの前は当然長蛇の列が出来ていました。
その時にふと、この食堂は以前のレジのおばちゃんに全てのレジ業務を任せっきりで、そのおばちゃんが辞めた時のことを考えていなかったんだなぁと思いました。
そして、おばちゃんが実際に辞めた直後は、レジ打ち業務も特に滞りなく行われていたんだけれど、レジ打ち以外のところで綻びが見え始めた。
それがお茶と箸で、思い返してみれば給茶機のお茶の葉はおばちゃんがレジ業務の合間にかえていたし、箸も多分レジのおばちゃんが補給していたんだと思います。
新しくレジに入った人も、同じ仕事を与えられているんだろうけど、慣れないレジ打ちに気をとられていて、定期的にお茶の葉をかえたり、箸を補給する事を忘れていたんだと思います。
そのせいで、僕は毎日の様に凄く薄いお茶を飲むハメになり、持ちなれていない割り箸を使うことになり、最終的にはレジの前で足止めを食らったりしたのでした。
結局それ以来、レジで待たされるというトラブルは起こっていないのですが、その一件の時に、伸びていく列の前の人のラーメンを眺めながら、レジのおばちゃんの見えないところでの重要性や、一人が辞めてもちゃんと業務が回る様なリスク管理の大切さを感じました。
そして今でも時々薄いお茶を飲む度に、レジのおばちゃんの事を少し思い出したりするのでした。